素数の平方根を付け加える話
引き続き学部時代のメモ放出。
体論の演習で話題になった命題を証明したやつ。
命題
は、全て互いの素な2以上の自然数で、各 は平方因子を持たないとする。
この時、 は 次拡大である。
(証明)
に関する数学的帰納法で示す。
の時は、 が平方因子を持たないという仮定から明らかである。
今 について命題が真であったと仮定し、 の時に命題が成立することを示す。
そのためには、 とおいて、 が2次拡大であること、すなわち であることを示せば良い。
と仮定して矛盾を導く。
とおく(従って、 である)。
帰納法の仮定より、 であるから、 ならば、ある によって、
と書ける。
これより、次式が得られる。
より、 は 上線形独立なので、上式が成立するためには、特に でなければならず、よって である。
従って .
ところが、 は、命題の仮定を満たすので、これは帰納法の仮定に反する。
(証明終わり)
これを用いて何が言えるかといえば、次が言える。
系1
素数列 に関して、 とおくと、 は 次拡大.
系2
の代数閉包を とすると、 は無限次拡大.
演習で話題になったきっかけは、この系2が言いたかったらしい。
もっとも、系2だけならば、 に原始乗根を加えていくだけで良い。