数学

円周上の点を有理点で近似したかった

講義のレポートで、 で図を書く時に必要になったので、メモ。 の貧弱な数値計算環境では、sin, cos を気軽に計算することは、多大なコストを要する。 そこで、出来るだけ簡単な有理点で近似してやろうということになった。アイデアは簡単で、三角関数の間の…

圏論から逃げない2. 集合論的な像と普遍性

前回は、「部分集合」の概念を一般の圏に拡張した。 今回と次回では、「像」の一般化を試みる。 今回は特に、集合論的に定義された「像」が、圏 においてどのような圏論的性質を持つのかを調べる。 での像と、その universal property 過去にこんな記事を書…

圏論から逃げない1. 部分, 商

今まで漠然と知っていた、圏論における集合論のアナロジーをまとめる。 以下、を一般の圏とする。 部分集合と商集合 部分集合や商集合のアナロジーを考えるためには、包含写像や商写像の一般化を考えれば良い。 定義 を の subobject とする。 の subobject …

環構造復習1:巡回群上の環構造

巡回群 に、 から誘導された自然な環構造が入ることは、環論を勉強し始めて、最初に学ぶこと。 ここで、アーベル群 上の環構造というのは、写像で、分配則と結合則を満たすものである(加えて単位元 の存在を含める場合もある)。今回は、特に が巡回群であ…

スマホ歩きが本当に悪か検証

僕にとっては到底理解できぬことですが、日本でスマホが多数派となった昨今、皆様いかがお過しでしょうか。 スマホの流行とともに、巷では、スマホ画面から目が離せない人々の増加が問題視されている。 例えば、我が父曰く「ぶつかりそうになった」しかし、…

群の分解拡大まとめ 3.半直積の間の群同型

(この回に関しては、きちんとした文献を参照している訳ではないので、とんでもないデタラメになっている可能性があります。鵜呑みにはしないで下さい。また、少しでも誤りを見つけたら、コメントにて指摘して下さるとありがたいです。)群の分解拡大まとめ …

群の分解拡大まとめ 2.半直積と群作用

三回シリーズの二回目。 群の分解拡大まとめ 1.分解拡大と半直積 - junologyのブログ 群の分解拡大まとめ 3.半直積の間の群同型 - junologyのブログ前回は、言ってみればインフラ整備だったが、今回は、実際に分解拡大問題を解く。 正規部分群の自己同型 ア…

群の分解拡大まとめ 1.分解拡大と半直積

はじめに 群の拡大(拡張)問題について、まとめる。全三回。 群の分解拡大まとめ 2.半直積と群作用 - junologyのブログ 群の分解拡大まとめ 3.半直積の間の群同型 - junologyのブログ動機として、最近研究室のセミナーで、 みたいな形の群やモノイドが超重…

素数の平方根を付け加える話

引き続き学部時代のメモ放出。 体論の演習で話題になった命題を証明したやつ。 命題 は、全て互いの素な2以上の自然数で、各 は平方因子を持たないとする。 この時、 は 次拡大である。 (証明) に関する数学的帰納法で示す。 の時は、 が平方因子を持たな…

f(x+y)=f(x)+f(y) の時、f は何か?

学部時代のノートがたまってたので、こっちにメモしなおし。大学学部2年生の線形代数の演習で、次が出題された: 問 写像 が、任意の について であるとする。 この時、 は線形写像か? は を加法群、つまり 加群として見た時の準同型であることを意味してい…

1+2+3+... の形式的計算

数学トリビアとして有名なの計算を形式的べき級数を用いて、正確に計算してみる。まず、有理数体 (一般の体でも良い)上の形式的べき級数環 では、和と積の他に、「合成」が定義できる。 について、 で、 の定数項が ならば とおく。 右辺は に対する仮定よ…

変な被覆考えた

をそれぞれ整数、有理数及び実数の全体とする。 次の空間を考える。また加法群のへの作用をで定める。 この時、とおくと、自然な射影は被覆写像である。 これは、この写像が なる被覆写像に拡張できることから従う。さて、, はともに連結空間で、かつ基本群…

複素一般線形群の位数有限な元について

自分用メモ が位数の元とすると、のある共役元はの元である。 実際を標準のhermite内積とし、 とおく。 は明らかにhermite内積であり、定義より自明に次を満たす。 (*) 今、内積に関する正規直交基底をとする。 標準基底からの基底変換の変換行列をとする…

某アイドルグループがじゃんけんをしていたので

小学校の時、欠席者がいると、給食の剰余の離散量品目(パン、牛乳、ゼリーなど)はじゃんけんによって分配されていたことを思い出した。 そこで、食堂でテレビを見ながら思ったのだが、じゃんけんによって「たった一人」を決めるのに、2人ずつ組になってト…

有界集合からの等距離膜:凸閉の場合

おなかがすいて何も考えられなくなったのでメモを残しとこう - junologyの日記で提示した命題の証明をする。 命題を再掲する(やや改変)。 命題1 は、原点中心、半径の次元球の内部に含まれるとする。 この時 は、次元球面と同相である。 今回は特別な場合…

稠密な有理数に働いてもらう

数学科の講義で集合の濃度の話をやると、が可算濃度ですよっていうのは必ずやる。 また、位相を習う時に、の中でのの稠密性もやる。 従って、が可分というのは、数学科の人間なら誰でも知っていることなのだけれど、このことは、色々な反例を構成するのに、…

凸包まとめ

凸包についてまとめてみたくなった。実線形空間の部分集合が凸であるとは、任意のと任意の実数に対して、であることだった。 さて、が凸でなくても、を含むの凸集合というものを考えることができる。 今回問題にするのは、そのような凸集合の中でも最小のも…

ユークリッド空間の凸集合からの距離ネタ帳

以前提示した問題が、肯定的に解けたと思う。 その証明を記事にする前に、「凸集合からの距離」関するいくつかの事実をまとめておく。次の記号を用いる。 を上の通常の(-)距離とし、に対して、 の定義の左辺に現れる集合は、自明な下界を持つので、下限は…

Zariski位相の開基について

Zariski位相って、閉集合を先に決めるから、「位相空間」だと思った時に、慣れないとどうにも勝手が違って困る。 で、実はZariski位相にも開基がとれるんだけど、[God] *1では、普通の取り方と違う開基の取り方をしてたので、本当に同値なのかな、って思った…

おなかがすいて何も考えられなくなったのでメモを残しとこう

記号の用意 に対して、はの第成分。 はの通常の距離 について、 命題 は、原点中心の次元単位球の内部に含まれるとする。 この時 は、次元球面と同相である。 証明の方針 のかわりにの閉包をとることで、はコンパクトとして良い の境界がであることを示す 内…

初等解析はつらいよ

微分したくない。 ひたすらに微分したくない。 微分しないためならば、1,000円/月払ったって良い。 微分をこの世から滅ぼすための基金があったら、30,000円くらい寄付しても良い。 でも、そうはいかない。 何故か。院試に問題が出るから。Landauの記号を用い…

単位元を仮定しない環って変

直接問題になった訳ではないけれど、教科書を読んでいてつまずいたところを解決するに際して生じた疑問をメモ。解決には Yahoo!知恵袋 が役にたちました。 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1191101101 回答者の方、ありがとうござ…

地球は丸いらしい

最近知った... というのは嘘だけれど、自分でちゃんと証明してみて、これ、以外と非自明だなぁ、とあらためて実感した。 いや、球じゃなくて、回転楕円体だよ、とかそういうことでなくね。 地球一周できたよ、じゃあ、地球は球だね、なんていうお気楽なモン…

Cartesian Square メモ1 一般論

散々cocartesian squareについて議論してきたけれど、層の逆像を定義する時に、ついにファイバー積が必要になった。 そこで、cartesian squareについて色々勉強したのだけれど、とかでのcartesian squareには、cocaretesian squareと共通する性質が色々ある…

位相空間のファイバー和

Fibered Sumの構成における「同値関係」 - junologyの日記 Fibered Sumの構成における「同値関係」続き - junologyの日記 Fibered SumとCocartesian Squareと単射、全射 - junologyの日記 Cocartesian Square 補遺 - junologyの日記 と、圏におけるファイバ…

Cocartesian Square 補遺

fibered sumって、日本語でファイバー和と直訳するそうな。 知らなかった。 じゃあ、cocartesian squreは余デカルト方図式とでも訳すのかな?cocartesian squareの性質については、Fibered SumとCocartesian Squareと単射、全射 - junologyの日記で大体示し…

Godement 層の理論ノート1 層とetale space

前回、前層(presheaf)の定義をしたけれど、あれは反変関手ならなんでもござれで、あまりにも一般的すぎる。 特に、の位相の意味に一切触れていない。 そこで、位相空間の性質について自然になるように、もう少し条件をつけたのが層である。 層の定義 前回…

Fibered SumとCocartesian Squareと単射、全射

前々回で、にはファイバー和が存在するという事実を紹介し、前回はそれを具体的に構成した。 具体的に構成したことによって、僕が今まで納得できなかった命題がちゃんと証明できるようになったので、それを紹介する。上に前回定義した作用素を今回も用いる。…

Fibered Sumの構成における「同値関係」続き

昨日の続き。 昨日は、「生成」される同値関係なんて概念でお茶を濁したけれど、実はきちんと同値関係は確定する、というお話。 今回は完全に集合論の枠内に収まる...はず。 あるいは、僕が圏論だと思って喜んでいても、実は集合論の手の平の上で踊っている…

Fibered Sumの構成における「同値関係」

代数トポロジーをやってると、adjunction spaceとかmapping torusなんてものにおめにかかるけれど、実はこれらはともに、圏論の概念であるところのfibered sumの特別な場合であるといえる。僕が過去に読んだ[Mac]*1とか[Str]*2 とかには、圏ではfibered sum…